金銀糸 ラメ糸
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クラウン工業株式会社

金糸・銀糸のこと

金銀糸とは

金銀糸とは、和紙に漆などで金箔・銀箔を貼り付け、それを糸状に裁断したものが始まりで、薄い金箔・銀箔と、丈夫な和紙の技術が発達していた日本で特に普及しました。
製造は京都府南部、山城地域で始まり、現在でも京都府南部、城陽・山城地区が主な生産地となっています。
金銀糸は、その形状の違いによって呼び名が異なり、フィルムだけの平糸と他の繊維と絡ませた撚り糸(タスキ、ハゴロモ、丸撚りなど)があります。

現在では、和紙と金箔・銀箔の代わりに、薄いポリエステルやナイロンのフィルムにアルミニウムや銀などを蒸着させ、裁断したものが大量生産され、金銀糸もしくはラメ糸と呼ばれています。
アルミニウムや銀は銀色ですので、その上に黄色を着色すれば金色に、透明着色で銀色に、任意の色、例えば青色を着色すればメタリックブルーに加工できます。ポリエステルやナイロン製のフィルムは和紙よりも丈夫な為、より細く、長く裁断することができ、且つ管理も容易で価格も安価な為、現在では主流の原料となっています。

金銀糸の始まり

日本では6~8世紀頃に金銀糸が登場し、江戸時代には幕府によってその生産が管理され、明治以降は営業が自由化、その後前述した現在の大量生産時代を迎えます。いつから金銀糸の国内製造が始まったかについては、記録が少ない事、中国から輸入していた記録が残っている事もあり、残念ながらはっきりしていません。

中国では、漢の時代にすでに記録があり、6世紀頃には平糸・撚り糸共に存在したようです。
インドでは、紀元前から金銀糸が存在していたといわれています。現在ではサリーなどの民族衣装によく使われています。
ヨーロッパでも紀元前に既に金銀糸が存在していたようで、王族・貴族など権力層・富裕層の衣服に使われたのが始まりといわれています。

参考:Wikipedia「金銀糸」、日本金銀糸工業協同組合のホームページ

金銀糸製造フローチャート

  • 蒸着機

  • マイクロスリッター

  • 撚糸

  • ①ベースフィルム

    通常ポリエステルフィルムを使用、現在は染色の出来るラメ糸用途にはナイロンフィルムを使います。和紙をベースとして蒸着した製品も一部で残っています。

  • ②真空蒸着

    ベースフィルムの上に銀、アルミニウム、錫などの薄い金属被膜層を密着させて、金属光沢を設ける工程です。安価で安定した光沢のアルミ蒸着が一般的です。真空蒸着とは、真空にしたタンク内で金属を高温で溶解蒸発させ、その金属原子を紙、布、プラスチックフィルム、レンズ、ガラス等々にあてて金属被膜をつくらせるという方法です。現在はフィルム等に連続して行う事が出来ます。

  • ③着色(オーバーコート)

    蒸着したフィルムは、金属光沢はありますが、そのままでは金属層が簡単にはがれたり、光沢が消失したりして使えません。そこで、金属層の上に樹脂を塗り金属層を保護したり、金属層の上に色を付けて、金色やカラーメタリック色を作ります。銀色の蒸着フィルムの上に黄色染料樹脂で着色をすることにより様々な金色を作っていきます。

  • ④ラミネート(貼り合わせ)

    金銀糸は用途によって、後加工性・耐染色性、高堅牢度が要求される事があります。そうした高堅牢性を求める為、蒸着フィルムとポリエステルフィルム、着色後のフィルム同士、蒸着フィルムと和紙など、用途に合わせた様々な組み合わせのフィルムの貼り合わせを行います。最近増えています、染色出来るナイロンフィルムや後染め用のポリエステルフィルムは、必ずラミネート加工によって高堅牢の2PLYフィルムとなっております。

  • ⑤マイクロスリット(スリット)

    着色やラミネートされたフィルムは、まず50mm-167mmの幅に切分け(大切)します。切分けされたフィルムは、マイクロスリッターという、金銀糸特有の裁断する機械で、細く切ります。この切ったフィルムだけの金銀糸を平糸と言います。最少0.1mm(300切)から太いもので3mm(10切)位の幅まで、風合いやデザイン性などの目的に応じて、スリットしながら、ボビン(糸巻)に一度に300-400個巻き取って行きます。(イメージとしては、うどん切りの機械に薄いフィルムを通しながら、出てきたものをミシンで使う縫糸のボビンの大きな物に捲いて行く感じです)細い金銀のフィルム糸が300-400本にスリットされて、切れずに捲かれていく様は、壮観です。

  • ⑥撚糸

    ボビンに捲かれた平糸を、他の糸と撚り合わせて行きます。他の糸と撚糸する事により、切れやすい平糸を切れにくく、強い糸にします。また、柔らかい糸や風合の良い商品に仕上げたり、より表情や特色のある糸に撚糸します。撚糸方法や撚り合わせる糸によって全く違う糸になっていきます。金銀糸の主な撚糸方法については後述しております。

  • ⑦糸染め

    技術の発展と供に、染色出来る金銀糸や染色で染まらない金銀糸を開発してまいりました。生成銀や生成金のラメ糸を糸染め(チーズ染色やカセ染色)して、色々なカラーラメ糸として提供するようになっています。従来のフィルム着色で色付けした金銀糸に比べ、糸染めをしてカラーラメ糸を供給する事により、カラーレンジ(色数)を増やすことが可能になり、欠品時の納期対応も早くなりました。また、特注色にも少量から対応しております。糸染め品のラメ糸は、価格こそ従来品より高いですが、高堅牢度な物やノンホルマリン対応品も多く、お客様にも喜ばれています。現在弊社の在庫商品の内、約半分は糸染め品のラメ糸となっています。

金銀糸の厚みと幅について

厚み

ラメ糸や金銀糸の規格を表す時、箔やフィルムの厚みと切り幅を示します。織物の生地風合い、柔らかさやデザイン性を求めて、厚み切幅を変える事を行います。

ちなみに日本人の髪の毛の太さの平均は
80micron(0.08mm)、
コピー用紙の一般的な厚みが90micron(0.09mm)、
食品用ラップが11micron(0.011mm)厚みとなっているそうです。

ミクロン表示(μ)ゲージ表示ミリ表示
6 micron25 GAUGE0.006mm
12 micron50 GAUGE0.012mm
25 micron100 GAUGE0.025mm
38 micron150 GAUGE0.038mm
50 micron200 GAUGE0.05mm

・・・汎用品

切幅(スリット幅)

金銀糸の業界においては通常「〇〇切り」と表現して取引を行います。これは曲尺(かねじゃく)一寸(30.3mm)巾のものを何本に切るかという意味になります。


おおよその換算表を示します。

つまり、切幅の数字が大きいほど幅が細く、切幅の数字が小さいほど幅が太くなります。

200切は? = 30.3mm÷200 = 0.15mm幅となります。

ちなみに一般的な輪ゴムの厚みは1.1mm (28切幅)、シャープペンシルの芯の厚みが0.5mm(60切幅)です。

弊社の現在一番薄くて細いラメ糸(フィルム)は12ミクロンの300切(0.1mm)幅のシルバーラメで約18デニールです。これは、食品用ラップ程度の厚みのフィルムを日本人の髪の毛の太さより少し太い幅に切ったフィルム糸ということになります。

切幅ミリメートルインチ表示
300切0.10mm1/254”
250切0.12mm1/210”
200切0.15mm1/168”
150切0.20mm1/127”
130切0.233mm1/110”
120切0.252mm1/100”
110切0.275mm1/92”
100切0.303mm1/85”
90切0.336mm1/75”
80切0.378mm1/69”
75切0.404mm1/64”
60切0.5mm1/50”
50切0.6mm1/43”
40切0.75mm1/32”
20切1.5mm1/16”
10切3.0mm1/8”

金銀糸の形状と撚糸方法

平糸(ひらいと)

スリット糸や箔と言われる、フィルムを切っただけの扁平糸
通常、両鍔付きボビン捲きに捲かれています。高光沢ですが、使い方に因っては切れたり伸びたりすることがあります。織物の経糸や撚糸材料として使われます。


タスキ撚り


平糸を中心に細いナイロン糸でX状(襷状)にS撚りとZ撚りに撚糸したもの。強力があり、使い易い。織物の緯糸や丸編み等によく使用されます。


羽衣撚り(はごろもより)

平糸をよじりながら、芯糸に粗く撚りつけていく、キラキラとした輝きがでる横編みニット等に良く使用されています。


丸撚り(まるより)

平糸で芯糸が表から見えないように、完全に包み込む様に撚ったもの。刺繍糸や和装品等に良く使用されています。


蛇腹撚り(じゃばらより)

上記の丸撚りの撚り方で、芯糸をみせながら間隔をあけて巻きつけていく。芯糸も見えるため、面白い見え方、色使いになります。


ブリヤン撚り


羽衣撚りに逆撚りの抑え糸がプラスされたもの。キラキラと光り、平糸がずれない為、使い易い。

その他にも意匠撚糸に金銀糸を入れ込んだものや、上記の撚糸方法をを変形したり、糸を変えたりして、商品を開発しております。